「シンフォニア・ノビリッシマ」ざっくり解説
古典中の古典にして名作
1960年代に作られた吹奏楽の古典中の古典であり、名曲中の名曲の一つです。日本ではシエナ・ウィンドオーケストラの演奏が特に有名です。
ファンファーレから始まって、急・緩・急というオーソドックスな構成ながらも、親しみやすい旋律と飽きの来ないオーケストレーション、そこそこの難易度で吹きごたえもあり、現在もよく演奏されます。
「近年再評価の動きがあるジェイガーの名作」
作曲者のジェイガーは世界の吹奏楽におけるパイオニアの一人です。とくにアメリカの海軍軍楽学校での教育活動によって吹奏楽の世界で名をはせるようになりました。どの曲もオーケストレーションが効率よく「鳴る」ように工夫がされています。
「シンフォニア・ノビリッシマ」は結婚直後の奥様に捧げられたそうで、大変美しい旋律が印象的な作品となっています。また、親日家でもあり、日本にちなんだ曲も数多く作っています。1968年にアメリカで出版され、翌年69年に阪急百貨店吹奏楽団がコンクールでこの曲を演奏し一位を獲得したことで、70年代には数多くの団体がジェイガーの作品を演奏しています。
ごまかしが効かない、飛び道具にも頼れない曲で、近年ではコンクールで演奏されることは少なくなりましたが、交響曲をはじめコンサートピースとして依然として人気の高い作曲家です。
親日家の多い海外の吹奏楽作曲家の例に漏れず、ジェイガーも大変な親日家で、組曲「日本の印象」や交響曲第二番「三法印」など、日本にインスピレーションを受けた作品も数多く作曲されています。
「シンフォニア・ノビリッシマ」名盤・名演
「ノビリッシマといえばコレ!」 佐渡&シエナ「ブラスの祭典3」
今でこそ吹奏楽のCDがたくさんありますが、「昔はコレしかなかったし、ノビリッシマといえばシエナ」という人は多いと思います。
非常に完成度が高く、優雅かつアツイ!演奏ですが、アマチュアがコレを目指すと大変なことになります。吹いてみてからこの演奏のすごさに気づかされる人もいたのではないでしょうか?
演奏について 〜読者の皆様から〜
軽い気持ちで大火傷
シエナの音源に騙されて選曲して痛い目に合ったバンドがいくつあったことか……というほどこの曲は大変です。聴くのと吹くのでは大違いです。
全体的にどのパートも仕事が多く、吹きっぱなしになりがちで、なおかつよく「鳴る」ため一人一人大きく吹いてしまい、結果全員疲れる……という感じでしょうか。とにか疲れます。
テクニカルなパッセージもしっかりとした細かく分析して吹かなければサマにならず、アカデミックにしっかりと考えて音を並べないと「それっぽい」演奏にならず、頭と体の両方が悲鳴をあげます。
名作だけどコスパは微妙
管楽器は調合のせいもあってか、なかなか綺麗に音が並ばなかったり、聴いた印象よりもずっと吹きにくい楽譜です。コスパとしてはあまり良くない部類に入る曲でしょう。
打楽器もスネアドラムなどは非常に叩きにくい譜面となっており、人によってかなりの練習が必要になります。
最後までキツイ譜面ですので、とにかく前半と中間部で吹きすぎない事に注意しましょう。結局、楽しくて吹きすぎちゃうんですけどね笑。