【吹奏楽名曲紹介】吹奏楽のための祝典序曲「科戸の鵲巣」 (中橋愛生)

「科戸の鵲巣」ざっくり解説

今やコンクール曲としてお馴染みの「科戸の鵲巣」は2004年に防衛庁設立五十周年記念の委嘱作品で、長大編成を念頭において、中橋先生の独特の書法で書かれた作品です。

80人を超える超大編成を指定されていますが、コンクールではコンクールエディションの演奏が一般的になりました。2014年に東京佼成ウィンドオーケストラの定期演奏会で演奏されるための「〜〈Edition TKWO〉」も出版されています。

「作品名に込められた作曲者のコンセプトに脱帽」

「科戸」とは「しなと」と読み、「し」は風を意味し、「と」は場所のことを意味します。「な」はいわゆる体言を修飾するための助詞で、直訳すると「風の起こる場所」というようなものとなります。また、その風は罪や汚れを払うものとされています。

「鵲巣」とはカササギの巣のことで、七夕伝説で多くの仲間とともに自らの体で天の川に橋をかけてくれる鳥として知られています。カササギは年ごとに風向き予測して巣を作るとされ「鵲巣は風の起こるところを知る」ということわざもあります。

こうした二つの要素から、「風の起こるところ」である「吹奏楽」を連想してつけられたという実に美しく機知に富んだタイトルもこの曲の魅力の一つです。