【吹奏楽名曲紹介】マゼランの未知なる大陸への挑戦 (樽屋雅徳)

近年、コンクールその作品が多く演奏される樽屋先生の代表作のロングセラーです。「マードックの〜」と並んで人気の高い作品です。

大航海時代、世界一周の途中で命を落としてしまったマゼランの魂がそのまま旅を続けていたら……という歴史の「if」をテーマにした、ドラマティックでエンターテイメント性に優れた映画音楽のサウンドトラックのような作品です。

もっとも、歴史を深く読み解くと、大航海時代の西洋の艦隊とりわけマゼランはなかなかエグい事を行く先々でやっておりまして、なんとも言えない気持ちになるのですが、それでもこの作品は演奏していても、聞いていても楽しい名曲です。

演奏のしやすさに難ありだけどやっぱり吹きたい名曲

これは、奏者としての感想なのですが、樽屋先生の作品は独特の難しさがあります。これは演奏したことのある方なら、皆様賛同していただけるのではないでしょうか?

ぶっちゃけると、あり得ない音の運びが多いですよね……ティンパニやホルンがその典型だと思います。しかし、それでもなお、樽屋先生の作品には有り余る魅力が詰まっています。

だからこそ、今でも盛んに演奏され、愛されて続けている名曲があるのだと言えます。

演奏について

独特の演奏しにくさがあるとはいえ、それでものめり込める魅力があるのが樽屋作品の特徴です。

見せ場はやはり、クラリネットによる連符の嵐でしょう。伴奏ならばともかく、主旋律ですしごまかしが効かないのが憎いところです。こればかりは、最初から戦略と約束を決めて取り掛かるしかないでしょう。

連符と言えば、ゆっくり練習や全音符での練習など色々なアプローチがありますが、古き良き「リズム変え」練習も効果的ですので、ぜひお試しください。

様々なパッセージが入り乱れることの多い樽屋作品で見落とされがちなのだ低音の重要さです。序盤から中盤にかけての激しい動きの部分は特に低音の鳴りが重要です。

この曲の人気ポイントの一つがトランペットソロです。感動的な場面ですが、意外にも伴奏のピアノが弾きにくく、難易度が高いので要注意です。樽屋先生の作品の大きな特徴の一つとして、やはりピアノの弾きにくさは外せない要素だと個人的には思います。

技巧的なパッセージが続くため金管が特にバテやすいようなので、ラストの感動的な場面までしっかりと計算して演奏したいところですね。