「紺碧の波濤」ざっくり解説
長生先生の「紺碧の波濤」は2011年の幕張総合の演奏でよく知られるようになりましたが、意外にも2005年に創価グロリア吹奏楽団に委嘱されて作曲された比較的歴史のある曲です。
「悲劇の英雄」をテーマとして与えられた作品で、西洋音楽の現代的な響きに彩られながらも、和風な雰囲気を感じさせる、独特な世界観を持った曲で、長生先生版のジャポニスムとも言えるでしょう。
かなり難易度が高く、コンクール自由曲に選んでも途中で挫折してしまうバンドもあるんだとか。
「悲劇の英雄」をテーマにした名作
この作品のテーマを知った時、これほどまで切ない叙事的かつ叙情的な吹奏楽作品があるのかと驚いた記憶があります。人によって思い浮かべるものは違うかと思いますが、長生先生のこの作品に見る「悲劇の英雄」というテーマは私には非常に魅力的に思います。
作曲者の長生先生はこのテーマについて、悲劇の中にあっても運命を恨むのではなく静かに受け入れる、諦めとは違う凛とした気概、生き方を素敵だと思う。と語り、そんな英雄が宿命を受け入れつつも葛藤する前半、後半はその波濤の中に向かっていくのだと解説しています。
「紺碧の波濤」の名盤名演
「圧倒的名演!」2011年 千葉県立幕張総合高等学校 佐藤博指揮 金賞
冒頭に述べた通り、これが名演であり最高峰でしょう。縦横テンポをかっちりとした(悪い意味での)吹奏楽らしい作り方とは別次元の音楽作りがされています。が、このアプローチこそが長生作品の真価を発揮できるものなのかもしれません。
テンポ変化の独特な揺らぎ、かくパッセージの中でしっかりと浮き沈みの味付けが練られた演奏、細部に神は宿るという言葉がありますが、まさしく細かく作り込まれ、聞き手の心を掴んで離さない演奏です。
長生作品の演奏の中で最も好きな演奏の一つです。ぜひ聞いてみてください。
大会音源の中でも超お得な名盤としておなじみの2011年のvol.9 です。このサイトでもオススメしてるトリトンデゥアリティ、宇宙の音楽、イーストコースト、祈りの鐘など大御所の名曲がズラッと揃ってます。
「シビックの本気」
個人的に、土気シビックウィンドオーケストラの演奏もオススメです。盛りだくさんの内容の名盤で、吹奏楽愛好家なら一枚は持っておきたいCDです。