「楓葉の舞」 ざっくり解説
四季連禱の最後の作品
この曲はヤマハ吹奏楽団が委嘱した長生先生の「四季連禱」という四つの作品群の中の最後を飾る、「秋」そして「別れ」をテーマにした作品です。2016年に同団体が交響曲第3番〈四季連禱〉として長生先生に作品を依頼したこともあり、今後リバイバルが期待される作品です。
四部作の最後を飾る作品として、「別れ」を一つのテーマとしたこの曲は2003年にヤマハ吹奏楽団浜松としてコンクールでも演奏され、人気曲ともなりました。
名作されど難曲
長生先生の作品は他の作曲家の作品とは違った味わいを持っていますが、演奏するのには大変なアナリーゼと練習、打ち合わせが必要になります。どの曲も正確な譜読みを経て表現をしていく中で、やっと楽曲の持つイメージや情景が浮かんでくるような魅力的なスコアです。
「楓葉の舞」は爆発的なヒットもあり、コンクールエディションが出版されていますが、長い時間をかけて全曲版に挑戦するのも面白いのではないでしょうか?
「楓葉の舞」の名盤・名演
「珠玉の吹奏楽アルバム『四季連禱』」の全曲版がイチオシ
かなり古い時期から出ている吹奏楽のCDで、長生先生の交響曲第3番の登場もありその価値が見直されているアルバムでしょう。
作曲者のコメントや想いも解説されており、非常に貴重かつ素敵なアルバムですので、是非CDでお楽しみください。
演奏について 〜読者の皆様から〜
指揮者泣かせの長生作品
この曲に限らず、長生先生の作品は指揮者サイドが頭を悩ます作品が多いように思います。変拍子に頼らない作風であるが故に、細かい味付けや瞬間的な響へのこだわりを打ち合わせしておきたいものです。
とにかく、長生先生は大変優れた作曲家であるが故に、音楽や指揮を専門的に勉強した人でないと振ることや、音楽を作るのが非常に難しいという特徴があります。
技術的問題を感じさせない、表現とその先へ
奏者側に関していえば、楽器の特性から発生する響のムラなどを極力抑えるのがポイントになりそうです。そして、いわゆるハモリのパートのセンスが問われる作品でもあります。
特に、金管に関していえば、2番3番奏者にも優れた音楽的素養が求められますし、木管に至ってはソリストを中心に名手がいることが重要になってくるでしょう。
いずれにせよ、指揮者と奏者がスコアをよく理解し、立ち回る事で初めてスタートラインに立てる作品です。技術的問題を感じさせることなく、表現と解釈まで結び付けられないようであれば、演奏は避けた方が良いかもしれません。