【吹奏楽名曲紹介】フェスティバル・バリエーション (C.T.スミス)

「フェスバリ」ざっくり解説

かつての吹奏楽愛好家の憧れであり、現在も絶大な人気を誇るスミスによる超難曲です。冒頭のホルンのユニゾンに代表される高難度のパッセージが散りばめられ、どのパートをとっても難易度が高い名曲です。

「華麗なる舞曲」、「ルイブル」でおなじみの作曲家による「ホルンへの嫌がれせ」との逸話のある曲です。ワシントン空軍バンドの委嘱で初演は1982年ですが、スミスの学生時代のライバルがホルン奏者にいたのだとか……

「ソファミレミファソ〜」といえばコレ!

技術発展の著しい近年では中学校でも演奏するようになった「フェスバリ」といえば、やはり冒頭のパッセージが有名です。ホルン吹きの中には遊びで吹いていらっしゃる方がよくいますね。

ちなみに冒頭のホルンの有名なファンファーレには「Bravura」すなわち、「上手に」という指示があり、作曲者と当時のホルン奏者との間の確執がわかります笑。

曲は急緩急の構成であり、主題部の後に四つの変奏部が続く。ハツラツとした急の部分と、ゆっくりな部分のソロ回しや、ドラマティックな旋律、そしてダメ押しのラストという流れのなかで充実した音楽体験をさせてくれる曲です。

ホルンは冒頭のパッセージに目が行きがちですが、中間部の「どソロ」も大変緊張するパッセージで、嫌らしい跳躍が出てきます。また、ホルンだけでなく他のパートも大変技巧的であり、実際演奏してみるとホルン奏者の方が楽に吹いてるなんてこともあるようです。

「フェスバリ」名盤・名演

「やっぱりシエナ!」佐渡&シエナ「ブラスの祭典3」

筆者の世代になるとやはり「フェスバリといえばシエナかなぁ」という感じです。「佐渡&シエナのブラスの祭典」はやはり名盤でしょう。何度聞いたことかわかりません。

適度なドライブ感がありつつも丁寧さを兼ね備え、それでいて中間部は超絶ネットリ聞かせてくれる、珠玉の演奏の一つです。

「佼成も頑張ってます」東京佼成「吹奏楽燦選」

2012年に発表されたアルバムで、普門館でレコーディングをしたというアルバムです。レコーディングは2011年ですが2012年の大河ドラマ「平清盛」テーマ曲などが収録されています。

このCDのフェスバリは委嘱した空軍バンドにならい、出版時にはカットされてしまったチェロパートを入れて演奏しています。

演奏について

意外にもホルンよりも木管群の方が大変な気がします。前述の通り、吹奏楽のホルン吹きは暇さえあれば音出しに吹いていることが多いですし、この曲をやろうと思うバンドのホルンは力があることでしょうから心配ないでしょう。

ボーッと聴いていると分かりませんが、実は拍子がちょいちょい変化するので、意外とめんどくさい作品です。

トゥッティの部分はみんなで頑張ればなんとかなりますが、各楽器のソロが技術的に追いついていないと奏者がかわいそうなので、その辺をみて挑戦するかの判断をするのが良いでしょう。